アウロラ ヴィアッジョ・セグレット
BURANO ブラーノ

2023年09月10日

皆様は最近ご旅行にはでかけられましたか?

今回ご紹介するのはイタリア国内の観光地とその街への旅と街の音を題材としたアウロラの限定シリーズ「ヴィアッジョ・セグレット」。
様々な街を、その歴史や文化も含め表現していることが魅力の一つとなっています。
第4弾の今回はイタリア北東部ヴェネツィアの潟にある島『ブラーノ』がモチーフの万年筆です。

177もの島々から成り立っている水の都ヴェネツィアの中でも一際異彩を放っているブラーノ島。

人口3000人ほどで、大きさも1時間程度あれば凡そ見て回れる程度の小さな島ではありますが、そのカラフルな街並みは島中どこを訪れても撮影スポットとなってしまうほどです。


このペンを見てみると、
ブラーノの街の鮮やかに浮かび上がる色とりどりの家々がモチーフとなった・・・

というイメージのわりには、
白くぼんやりとした柔らかい風合いの中に、玉ぼけのように遠くに見えるカラフルな色になっています。


対面からもご覧いただきましょう。

ブラーノ島の一見奇妙にすら思える街並みの配色は、冬場の霧深いこの地域に暮らす漁師たちがすぐに家を見つけられるようにペイントしたことから始まったと言われています。

見分けがつくようにと隣家とは異なる配色で壁を塗ったため、色とりどりの街並みが出来上がったようです。

太陽の元で色彩豊かに輝く街並みはもちろん美しく、誇るべき文化財だと思います。

しかし、視界不明瞭な中で家路につく漁師達が、深い霧の中僅かに見える自分たちの色を見て安心を得ていたのではないかと考えてみると、この万年筆の白の中に浮かぶ淡い色には街の歴史に対する敬意を感じることができます。

付属品の栞にはQRコードが印刷されており、街並みやそれをモチーフとした音楽を楽しむことができます。

直接赴くには少々骨が折れますが、これであればちょっとした小旅行を疑似体験することができるでしょう。

アウロラ リミテッドエディション ヴィアッジョ・セグレット BURANO ブラーノのお買い物はこちら >>

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CAST JAPAN展示会
@蔵前

2023年09月07日

『CAST JAPAN』の展示会に行ってきました。

一般のお客様は入れないその様子を、
少しだけですがご紹介出来ればと思います。

『CAST JAPAN』は、
世界の「PLAY」を輸入する会社です。
現在17カ国から30ブランドのPLAYをセレクトし展開しています。
※PLAY=主にゲームなど

キングダムノートといえば、『高級筆記具』。
という印象が強いと思いますが、実はゲームも取り扱いをしています。

筆記具とゲーム…一体共通点はどこか…
とも思いますが、
大変人気の商材でとてもご好評いただいております。
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東京のブルックリンと言われる蔵前。
CAST JAPANがある「ウグイスビル」は、古いビルがリノベーションされた古き物と新しい物が共存する話題の建物です。

名前の通り入口はウグイス色の扉。

扉の横にはウグイスが…タイルがいい味です。

エントランスのランプも素敵。
CAST JAPANは4Fです!

レトロな建築物好きな私。
実は、CAST JAPANのフロアに行くまでに全フロアを散策していました。

中に入るとタイムスリップしたような感覚にワクワクします。

剥き出しの配管の無骨さ。

窓ガラスには亀甲型のワイヤー。
鉄の取っ手がレトロ。

各フロア奥にある給湯室の
コンクリート製の流し台や、トイレの扉も、どこか懐かしく素敵でした。
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あちこち覗き、やっと4Fに到着です。
鹿がお出迎え。

壁にはstudio ROOF ‐スタジオルーフ‐ のモービルや立体オブジェが飾られていて、遊び心満載の世界観を演出されていました。


私の中では、
CAST JAPANといえば…の巨大なパンフレット。
コンパクト!コンパクト!が重要視される時代でこれがまた良いです。

さぁやっと会場に入室です。

センターには新製品が沢山スタイリッシュに展示されています。

壁には一面、人気のボードゲームたちが。

当店でも大好評のフランスの積み木Piks ‐ピクス‐

展示会で選定をさせていただいた結果、
この後、当店で取り扱い開始予定の新製品ゲームです。
↓↓↓

Gigamic
QAWALE カワレ

つるんとした大好物の”すいとん”みたいな…
手触りの良いピースに無性に惹かれる…

※すいとんではありません。
川辺の小石を積み上げるロックバランシングから着想し生まれたピースです。(怒られてしまうかも…)


Gigamic

In the footsteps of Darwin イン・ザ・フットステップ・オブ・ダーウィン
ダーウィンと歩む「種の起源」

GiiKER
AI SMART FOUR AI スマート4

大好評の「AI スマート4」がモデルチェンジ!!
ボードに分かりやすい表記が搭載されます。

GiiKER
SUPER BLOCKS スーパーブロックス

正式リリースされ、準備が整い次第公式ホームページにて販売開始します。
ぜひ、楽しみにお待ちくださいませ。

現在、キングダムノートでは20品目ほど取り扱いをしておりますが、
今後も魅力的な商材を増やしていく予定です!!

 

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美しい艶を持つエボナイト。
古くから万年筆の軸やペン芯に用いられてきた素材です。

【エボナイト素材の筆記具について書かれた過去ブログ】
▪過去ブログ『価値あるものを求めて~エボナイト素材~』の記事はこちら >>
▪過去ブログ『masahiro 始めました』の記事はこちら >>
▪過去ブログ『漆塗り万年筆の魅力と危険性』の記事はこちら >>

エボナイト軸のペンはその手触りの良さと独特な色合いで、今もなお高い人気を誇っています。

当店でもエボナイト軸のペンはお取り扱いがありますが、店頭での展示を控えさせていただいています。
それはエボナイトが紫外線や湿気に弱い性質を持っているためです。

エボナイトはまるでとろみを彷彿させるような艶があり色鮮やかなのが特徴です。

しかし、経年変化や使用/保管環境で、褪色(正しくは曇り)や変質をする特性があります。

エボナイトはゴムを硫黄によって固めたものですが、この硫黄が紫外線や、空気中の水分によって「硫化」することで変色や変質が発生します。

根っから文系の私には何のことか分かりません…。
百聞は一見に如かずということで一緒に画像をご覧いただきましょう。

キャップによって密閉され、保護されていた部分はきれいな光沢を保っていますが、常に光や空気に触れていた部分は褪色し、表面が少しマット調の風合いに変化しています。

拡大をして見てみましょう。

▪艶を保っている部分

▪褪色し艶が損失している部分。

逆にこちらの万年筆は胴軸はきれいな艶を保っていますが、首軸が色褪せてしまっています。

▪艶を保っている部分

▪褪色し艶が損失している部分。

このような経年変化は、純粋なエボナイトであるがゆえに起きる現象で、共に過ごした証です。
例え磨いたとしても完全に新品の状態に戻すことは難しいです。

過去にエボナイトの手入れ方法について、
私共で取り扱いをしているmasahiro万年筆にご教示を仰ぎ、

『純毛のニット素材の生地で拭くと曇りが軽減される』
と教えていただいたことがあります。

もちろん元の状態には戻りませんが、エボナイトのペンをお持ちの方は、もう着なくなったニットでお試しいただいてはいかがでしょうか。

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話は少し変わりますが、
パイロットはエボナイトの変色を防ぐため“漆”を用いました。

カスタムURUSHIやカスタム845は軸の素材はエボナイトですが、表面を漆仕上げにすることで、エボナイトの質感を保ちつつ、紫外線などによるエボナイトの変色を防いでいます。

カスタムURUSHIは展示しています!

展示をしていないエボナイト軸のペンを店頭でご覧になりたい際は、お気軽にスタッフへお声掛けくださいませ。

エボナイトの経年変化も魅力の一つと捉えるユーザーも多く、使い込むごとに味が出てくると思い入れもひとしおですが、できれば最初のころのように綺麗に保ちたいという方がおられるのも事実。

なるべく経年変化が進行しないようにするためには、乾燥した暗所での保管をお勧めします。

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独創的かつ革新的な
シェーファースノーケル -後篇-

2023年08月29日

前回に引き続き、
心躍る筆記具の一つとして、
「シェーファー スノーケル」をご紹介いたします。

過去ブログ『独創的かつ革新的なシェーファースノーケル -前篇-』はこちら >>

今回は実際の2つのモデルを見ながら、スノーケルについて少しでも興味をもっていただければ幸いです。

前篇でもお話ししたように、
スノーケルは16種類の字幅で展開され、非売品のデモンストレーターを含めると14種類のモデル、そしてシリーズ全体で13色におよぶカラーバリエーションがありました。

前回はスノーケルの機構について着目をしましたが、今回はデザインを中心に紹介できればと思います。

まず1本目に紹介するのは、こちらです。

キャップと胴軸はともに樹脂製で、トライアンフ型の巻きペン先が特徴的な「スノーケル ヴァリアント」です。

バーガンディの軸色で字幅のシルク印刷は消えてしまっていますが、XFもしくはFと思われます。

胴軸径は約10.5mmほどで現代の感覚からしてもかなり細身のモデルで、発売当時はメーカーでも一連のシリーズを、”Thin Model(TM)”と呼称していた様です。

総重量は17gであり、
キャップを外した状態ではわずか11gです。

金属製の胴ねじから滑り止めの首軸の溝を経て見える精緻なバイカラーの染め分けで構成されたペン先までのデザインは、一分の隙もなく、惚れ惚れするほどの完成された美を感じます。

ペン先のサイド部分の流れるようなカットと、ペン芯のカーブに添って収められているスノーケル管からは、はるか昔のペンであるにも関わらず未来を感じられ、現代のペンと比較しても、秀逸なデザインです。

スノーケルが発売された1952年といえば、万年筆の王様といわれる「モンブラン 149」の発売年でもありますが、お国柄の違いも含め、好対照をなすデザインです。

素材も当時の149がセルロイドであるのに対し、スノーケルはプラスチックの射出成型で作られています。

ペン全体を見た時には、特徴的な外観を構成する巻きペン先がまず目を引き付けますが、このペン先は見た目のインパクトもさることながら、実用性も兼ね備えています。

シェーファーで巻きペン先が採用されたのは1942年発売のトライアンフからですが、このモデルからペン先先端付近がやや上向きに反らしてあり、現在でいうウェーバリーのような形になりました。

その後のモデルでは、この「反り」はシェーファーの伝統といえるほど多くのモデルが反っています。

この反りのおかげか実際に使用してみた感想としては、細字のペン先としては紙への当たりが柔らかく滑らかに感じます。

もちろん「反り」の具合やペンポイント形状に左右はされますが、巻きペン先はいわゆるガチニブと言われるようなかなり硬いペン先の部類に入ります。

しかし、その硬さを感じさせない軽やかな書き心地が特徴的で、一種癖になるような、そんな面白みを持っています。

2本目に紹介するこちらのモデルは、ヴァリアントと同じく、キャップと胴軸はともに樹脂製で、象嵌のように埋め込まれたペン先が特徴的な「PFM-Ⅲ」です。

グリーンの軸色で、字幅のシルク印刷はこちらも消えてしまっていますがXFと思われます。

PFMは、「Pen for Men」の頭文字をモデル名にしたもので、文字通り男性のための万年筆で、胴軸径が約12.5mmと太めの存在感のあるボディになっています。

1959年に発売され、スノーケルの改良も図られたモデルになっています。
見た目に反して重量は軽く総重量は21gで、
キャップ外した状態では13gです。

バリエーションは装飾、ペン先の材質によってⅠからⅤの5種類に分けられ、型番の「Ⅲ」は樹脂製のキャップと軸に金ペン先がついたモデル。

字幅は8種類、カラーは上記のグリーンを含めた5色展開でした。

胴軸から首軸にかけて同色の樹脂でそれぞれ射出成型で作られたボディは、落とし込み勘合式のキャップになっていることもあり、一体的なシンプルなデザイン。

シンプルなモノカラーのペン先の中に覗く樹脂色がかわいらしいです。

スノーケルの巻きペン先と同じく特徴的な外観を構成するインレイニブ(象嵌ペン先)は、PFMではじめて採用され、その後のインペリアルやタルガ、レガシーなどを通じて、現在まで製造され続けており、ホワイトドットにならぶシェーファーの代名詞といえます。

3つの爪で固定するキャップ勘合と角ばったばね式クリップも、このモデルから採用されており、その後のモデルへ引き継がれていきます。
その意味でもPFMはブランドを象徴するモデルです。

ペン先自体の書き味はスノーケルと似通った部分がありますが、若干PFMの方が柔らかさがあり、軸の太さと相まってゆったりとした書き心地を覚えます。

軽くて太いという軸が個人的にとても好きなので、スノーケル式ということを抜きにしてもよいバランスのペンとして作られています。

2つのモデルを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

画像のように、同じスノーケル式ではありますが仕上げには多く違いが見られます。


紹介したモデル以外にも幅広いバリエーション展開が行われましたので、まだまだ書ききれないという気持ちではありますが、文章がどこまでも続いてしまいますので、今回はここで筆をおこうかと思います。

なお「スノーケル」と「PFM」のどちらも非常に魅力的なペンですが、シェーファー自身が1957年にカートリッジ式の万年筆を発売したこともあり、段階的にラインナップは縮小されていきます。

タッチダウン式はインペリアルへ引き継がれしばらく製造が続きますが、スノーケル式については、残念ながら1960年代にはすべての製造が終了してしまいます。

この「独創的かつ革新的な」万年筆たちが、ボールペンとの競争の中で10年以上の長きにわたって製造されたことで、スノーケルは幻のペンではなく、今も見つけることができるペンとなっています。
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余談ですがPFMについては、1963年に行われた外国万年筆の輸入自由化に伴い、若干量が日本国内にも正規輸入されています。

1969年当時の輸入代理店の価格改定表に「PFM-Ⅴ」が12,000円と記載されています。
インペリアルより安い価格なのは、現代から見るとかなり不思議です。

このような複雑な機構の万年筆は、今後はまず市販はされないことでしょう。
機会がございましたら、是非お手に取ってご覧いただければ幸いです。

 

SHEAFFER スノーケルのお買い物はこちら >>

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参考サイト

Jim Mamoulides(2001).”The Snorkel: A Sheaffer Innovation In Filling”.PenHero.com.
https://penhero.com/PenGallery/Sheaffer/SheafferSnorkelGuide.htm,2023年5月30日閲覧

Jim Mamoulides(2016).”Sheaffer Snorkel 1952-1959″.PenHero.com.
https://penhero.com/PenGallery/Sheaffer/SheafferSnorkel.htm,2023年5月30日閲覧

Jim Mamoulides(2002).”Sheaffer PFM: The Pen For Men 1959-1968″.PenHero.com.
https://penhero.com/PenGallery/Sheaffer/SheafferPFM.htm,2023年5月30日閲覧

F.G. Thomas.”Fifty Years of Sheaffer Fountain Pens 1953 – 2003.”.sheaffertarga.com.
https://www.sheaffertarga.com/Sheaffer%201958%20to%202003/Sheaffer%20Pen%201958%20to%202003.html,2023年5月30日閲覧

F.G. Thomas.”WALTER A.SHEAFFER.”.sheaffertarga.com.
https://www.sheaffertarga.com/Sheaffer%20History/History%20of%20sheaffer.html,2023年5月30日閲覧

日本筆記具工業会,”<万年筆の歴史>詳細年表”.日本筆記具工業会.
http://www.jwima.org/mannehitsu_web/01rekishi/rekishi_nenphou.html,2023年5月30日閲覧

パリ オペラ座
~重量200g超えの万年筆~

2023年08月25日

我々スタッフも滅多に目にする事が無い、
大変珍しい万年筆が入荷しました。

▪S.T.Dupont 万年筆
トゥルネール アーキテクチュアル マスターピース
パリ オペラ座

まさに圧巻のお姿…
本体に劣らず、箱も大迫力の黒塗りの観音開きの扉。

「パリ オペラ座」は、フランスのパリにある歌劇場です。
建築家シャルル・ガルニエの設計により建てられた事から「ガルニエ宮」とも呼ばれています。

ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」のモデルとしても有名で、実際にオペラ座の地下には怪人が潜んでいたかのような地底湖が存在するそうです。

この万年筆は、ペンには珍しいブロンズ製で、実際の建築の質感を現しています。

付属の台に立てると、ペン先が下に向く形となり、尻軸にオペラ座の中央・左右のドーム、胴軸からキャップに向けて柱が忠実に再現されています。

▪尻軸に位置するオペラ座のファサード

いくつもの円柱が繊細に象られている。


上から見たドーム型も美しい。

▪オペラ座の柱をモチーフにした胴軸

▪キャップには「tournaire」「S.T.Dupont」の刻印

デザインはフランスのジュエリーデザイナーフィリップ・トゥルナール氏。

S.T.Dupontはトゥルナール氏とのコラボレーションモデルを多く販売していますが、こちらもそのひとつで、トゥルナール氏の作品の特徴である建物由来の立体的な造形が
そのまま万年筆に表現されています。

その重さはなんと200g超え。
もちろん万年筆としての機能を備えています。

この万年筆は皆さまご覧の通りですが、
正直に申し上げて実用向きではなく、観賞用です。

とは言え、
例え手に取って筆記をしてみた時「激しく書き辛い…」と思っても、その細かな作りは眺めているだけで楽しく飽きる事がありません。

世界限定30本の大変貴重な逸品です。

この機会をお見逃しなく!!

S.T.Dupont エス・テー・デュポン
トゥルネール アーキテクチュアル マスターピース パリ オペラ座のお買い物はこちら >>

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万年筆インク持ち運びのあれこれ
~番外編~

2023年08月21日

先月アップしました『万年筆インク持ち運びのあれこれ』
のブログはご覧いただけましたでしょうか。

過去ブログ『万年筆インク持ち運びのあれこれ』はこちら >>

今回は【番外編】として、そもそもインク交換が不要な程、多くのインクを保持できる万年筆をご紹介したいと思います。

▪ショーンデザイン 万年筆 ビッグシックス ウルテム

100%メイド・イン・アメリカにこだわって製造される筆記具メーカー「ショーンデザイン」。

こちらのモデルも初期装着されているペン先ユニットこそ供給メーカーのものとなっていますが、各部材はすべてアメリカ製のものを採用し、加工は自社内で一貫生産されています。

また、別売りとなりますが自社生産の画期的なペン先ユニットを新規開発したことでも注目のメーカーです。

▪モノックニブ

モデル名の「ウルテム」とは軸に使われている樹脂の名称で、元々は航空機製造の部材として開発されました。

薬品や温度変化に強く、物理強度も高く、かつ軽量という、日々持ち歩く万年筆の軸として、この上なく贅沢で安心感のある素材です。


そんなハイテク素材を精度の高い加工技術で軸を仕上げ、さらに各パーツに用いられたOリングのおかげでカートリッジ、コンバーターの両用式としてだけでなく、直液式(アイドロッパー式)の万年筆としてご使用いただけます。

直液式として使用する場合なんと約3.5ccものインクを保持できるため、旅行に1本相棒としてお持ちいただくにもとてもおすすめです。

「モンブラン マイスターシュテュック #149」ですら約1.2ccの吸入量なのでその差は約3倍!

圧倒的な容量のおかげでインク不足の心配はほぼ無しと言ってよいのではないでしょうか。

勿論カートリッジ、コンバーターでもご使用いただけますので、お使いのシーンに合わせて様々な使い方が選べます。

創業者であるイアン・ショーンの掲げる、
「長く使えること」
を体現する質の高いものづくりを感じられる優れた逸品です。

SCHONDSGN ショーンデザイン ビッグシックスのお買い物はこちら >>

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ウミウシとダンゴウオ<br>栃木県へ嫁ぎました。

【上野文具 Presents とちぎ文具博2023】

■「とちぎ文具博2023」ご当地インクコーナー
期間:2023年8月23日(水) ~ 8月28日(月)
AM10:00 ~ PM20:00(最終日16時まで)
■開催会場
FKDショッピングモール宇都宮インターパーク店2F 大催事場
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毎年恒例となっている
上野文具様が主催する文具イベント。
50社もの人気文具メーカーが一挙集結!
文具好きには堪らない祭典です。

昨年、この祭典で初めて開催した『とちぎインク沼』。
全国のオリジナルご当地インクを集め、
とても大きな反響があったとのことです。

今年5月ごろ、上野文具イベントご担当者様から
キングダムノートに1本のお電話が入りました。

是非、このイベントに『ダンゴウオ』を。
そしてダンゴウオと
一番仲が良いお友達も一緒に。

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という流れから…

このたび、
普段はキングダムノートから出る事が無い
総勢10匹が
上野文具様に嫁いでいくことになりました。

【日本の生物シリーズ ダンゴウオ】

【日本の生物シリーズ ウミウシ】

この機会に我らが『ダンゴウオ』と『ウミウシ』が
普段はお目にかかれない
多くの皆様の手に取っていただけると幸いです。

会場にはお試し用のインクを入れたペンもご用意していただけるとの事です。
また、キングダムノートスタッフが描いている、
ラベルのイラストにもご注目いただけると幸いです。

まだまだ酷暑ですが、
透明感があり涼しげな色合いで涼しくなっていただけますように。

【上野文具 Presents とちぎ文具博2023】詳細はこちら >>
※イベントに関するお問合せは上野文具様へお願いいたします。

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ベネディクト16世の為に作られた万年筆
Sindone-シンドーネ-

2023年08月14日

2010年、聖ヨハネ大聖堂で聖遺物「聖骸布」が一般公開されました。

その際にローマ教皇ベネディクト16世が使用した教皇専用万年筆を、イタリア筆記具メーカーAURORAアウロラが制作しました。

特別に同モデルの複製許可を得て、限定210本が発売されています。

聖骸布とは、キリスト教・カトリック教会において定められた聖遺物の一つです。

聖遺物と聞いてぴんと来ない方でも、アーサー王伝説にも語られる聖杯やロンギヌスの槍などは、どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

聖遺物には等級があり、第1級ではキリストや聖母マリアの生涯に関わる物品と、聖人の認定を受けた故人の遺体などがあげられます。

今回の聖遺物は「トリノの聖骸布」と呼ばれ、ゴルゴダの丘での磔刑ののち、キリストの遺体を包んでいたとされているものとなります。

当然等級は1級であり、通常一般に公開されることはありません。

この聖骸布は発見されてから約600年もの間、補修や修繕を行い受け継がれて来たものですが、20世紀の100年間に公開されたのはわずか4回でした。

それがカトリック教会における大聖年、節目の2000年に一般公開が行われ、その後2002年の修復作業の後、2010年に修復後初めて一般に公開されました。

一般公開は聖骸布が保存されているトリノの聖ヨハネ大聖堂で行われており、その期間中に当時のローマ教皇ベネディクト16世が訪問されています。

その際に使用した筆記具がトリノ市から贈呈された、教皇専用に制作されたアウロラ製万年筆であったことから、同じモデルを聖骸布の公開記念として販売する許可を得たとのことです。

白と金を基調とした胴軸は、伝統的なローマ教皇の白衣がモチーフのようで、純潔や無垢といった穢れのない象徴を思わせてくれます。

シルバーのキャップには、「SANTA SINDONE OSTENSIONE 2010」(2010年聖骸布公開)と彫り込まれています。

敢えて年数を入れることで、今後も聖骸布が望む人の目に触れることがあるようにと考えていたのではないか…
そう思わずにはいられません。

2020年にも聖骸布は一般公開をしていますが、レプリカがトリノの聖骸布博物館で展示されているので観覧するならばそちらが良いかもしれません。

海外旅行も自由に行えるようになった今、
このペンと共に聖地巡礼などいかがでしょうか。

アウロラ万年筆 リミテッドエディション シンドーネ ソリッドシルバーキャップのお買い物はこちら >>

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本年は6月から30℃を超え、
7月には40℃近くまで気温が上がる地域が続々と…
全国的に危険な猛暑日が続いております。

キングダムノートが位置する新宿も連日異常な暑さ。

日中はアスファルトも溶けてしまいそうな暑さで、
夜になっても気温が下がらず、
蒸し暑いサウナのような熱帯夜です。

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さて、万年筆を飛行機に持ち込むと、
気圧の変化によって、
インク漏れを起こすのは有名な話ですが、
実は気温差でもインク漏れは発生する事があります。

特に発生しやすい状況は冬の寒い季節。
気温が低い外から、
暖房が効いた暖かい部屋へ移動させた時。
私も何度か経験したことがあります。

しかしこの異常な猛暑の影響か、
先日、外出先の野外で万年筆を使おうとした際、
盛大にインク漏れが発生していました。

恐らく暑さで万年筆が熱くなり、
コンバーター内の空気が膨張し、
中のインクが噴き出したと考えられます。

空気の膨張は、
空気を温まることが要因で起こる事象です。

エアコンの効いた涼しい室内から、
本年のような異常な暑さの外への移動も、
インク漏れが発生するという事を経験しました。

【インク漏れを防ぐために気を付ける事】
・急激な温度変化を与えずに徐々に慣れさせる
・なるべく空気を少なくインクを満タンに補充しておく
・ペン先を上に向けた状態にしておく

過去に当ブログでも、
インク漏れについて取り上げており、
インク漏れを起こし難いモデルをご紹介しております。
併せて是非ご覧くださいませ。
過去ブログ【冬と万年筆】はこちら >>
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しかし実は、
暑い夏の季節にインク漏れが発生し、
大惨事になるのは万年筆だけではありません。
お客様対応をしている経験上、
夏は万年筆よりも意外とボールペンが多いのです。

「暑い車内に置いていた」
「日が当たる窓際に置いていた」
「ポケットに挿してずっと炎天下にいた」

など、ボールペンでも同様にインク漏れは起こります。
原理は万年筆と同じです。
ある程度使用したレフィルは、
内部に空間が出来て空気が入ります。
その空気が膨張して、
インクが押し出されボディ内部に溢れ出す…

インクを使用している筆記具を持ち運ぶ際は、
気温差空気の膨張を頭に置いて、
気を付けるようにしましょう。

特に今年のような異常な暑さは要注意です。

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今は無きOMASが
チャールズ・ダーウィンに捧げたモデル

2023年07月23日

オマス
万年筆 チャールズ・ダーウィン生誕200周年記念
I think リミテッドエディション

2016年に惜しくも廃業となったイタリアOMAS社。

イギリスの偉大な科学者チャールズ・ダーウィンの生誕200年を記念し、2009年に発売されたモデルをご紹介します。

チャールズ・ロバート・ダーウィンは1809年にイングランドで誕生しました。

裕福な家庭で育ち、植物・鉱物収集や昆虫採集に夢中。
自然や化学などの身近なものに興味が強い少年でした。

16歳の時に医師である父を助けるため、医学と地質学を学びますが、血を見ることが苦手で、麻酔がまだ導入されていない時代の外科手術になじめず学位を取らずに大学を中退します。

20歳になると、父に牧師になるよう勧められ、ケンブリッジ大学に進学し、神学や古典・数学を学びます。

大学を卒業後、恩師の紹介によりイギリス海軍の測量船ビーグル号に科学者として乗船します。
1835年にガラパゴス諸島のチャタム島に滞在し、ここで進化論のヒントを得たと言われています。

ダーウィンが5年にもわたる航海と調査をもとにしたためたのが1859年に出版された「種の起源」です。

「生物が共通の祖先から長い時間をかけて徐々に進化してきた」という科学的に考察した内容は、世界に大きな衝撃を与えました。

19世紀当時はキリスト教の影響が強く、「生物は神が創造したもの」と考えられていた時代。
ダーウィンの考え方は人々に理解されにくいものでした。

しかし、ダーウィンの科学的な研究は高く評価され、現代生物学の基盤として多くの人々に知られています。

種の起源の中でダーウィンが記した「I think」は、
「人間を物事の中心に置く意思の表明及び行為」という意味や、「文章を書くことで考えが形を成す」という意味が含まれています。

ダーウィンの誕生年1809年にちなみ、スターリングシルバー仕上げの吸入式万年筆1000本とローラーボール809本の合計1809本が限定生産されました。

天冠と万年筆のペン先には、進化論の着想へと導いたといわれるガラパゴス諸島のMocking Bird(マネシツグミ)の可愛らしい姿がデザインされています。

クリップには、亀や海/陸イグアナ、溶岩トカゲ、フラミンゴ、カツオドリ、大ヤモリの足跡。

キャップや胴軸には当時の帆船にも多く用いられていたオーク(楢/樫)材が使用。
キャップリングには、ダーウィンの理論を起源とし研究されてきたDNA構造が描かれています。

胴軸にはビーグル号や海洋探検の航路が描かれています。

船のロープを表す装飾が、胴軸後方と尻軸と天冠に合計5本施されています。

ダーウィンの生涯が随所にちりばめられた知的好奇心をくすぐる名品です。

オマス万年筆 チャールズ・ダーウィン生誕200周年記念 I think リミテッドエディションのお買い物はこちら >>

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先月6月29日はフランスの作家
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(1900~1944)の誕生日でした。

そのサン・テジュグペリの代表作が「星の王子さま」

300以上の言語に翻訳されていて、「聖書の次に多く翻訳された書籍」と言われています。

原語のフランス語の題名は【Le Petit Prince】
直訳すると「小さな王子さま」です。

英語版「The Little Prince」
イタリア語版「Il Piccolo Principe」
中国語版「小王子」・・・。

多くの国が原語と同じ意味の題名をつけていますが
日本の【星の王子さま】という呼び方は、お話を読めば読むほどこの呼び方以外には考えられないくらいに自然に感じられる、素敵な題名だと思います。

▪岩波少年文庫版と新潮文庫版

さて、モンブランから発売されている
「マイスターシュテュック ル・プティ・プランス」コレクション。

星の王子さまに登場するキャラクターをテーマに作られた3つのシリーズです。

それぞれに万年筆やボールペン、またサイズ、デザインも様々なモデル展開となっています。

【第一弾 キツネ】

王子さまが地球で出会うキツネ。
「大切なことは、目には見えない」と教えてくれます。

万年筆のペン先には王子さまとキツネの刻印が。

【第二弾 アビエイター -飛行士-】

物語の語り手である飛行士。
操縦していた飛行機が砂漠に不時着したことで王子さまと出会います。
キャップにはその飛行機と砂漠の絵が施されています。
万年筆のペン先には飛行士が王子さまにせがまれて描いたヒツジの絵の刻印が。

 

【第三弾 プラネット -惑星-】

王子さまの星の、王子さまが愛した一輪のバラをイメージしたバーガンディの軸色。
「キツネ」「アビエイター」と異なりゴールドのトリムとなっています。

万年筆のペン先にもバラの刻印が。

「星の王子さま」の世界がそのまま筆記具で楽しめるこのシリーズ。

今は色々な日本語訳版も出版されていますので、新たに読み返しながら比べてみるのも楽しいかもしれません。

モンブラン 『ル・プティ・プランス』 コレクションのお買い物はこちら >>

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【メディア放映情報】<br>キングダムノート日本の生物シリーズ

【メディア放映情報】
キングダムノート日本の生物シリーズ

2023年07月14日

2023年7月16日(日) 7:30~放送
日本テレビ『シューイチ』

キングダムノートオリジナルインクの10匹の子たちが登場します。

『日本の生物シリーズ第7弾 ウミウシ』

『日本の生物シリーズ第8弾 ダンゴウオ』

2013年からシリーズ化をして不定期でリリースしている
『日本の生物シリーズ』
日本に生息する固有種の生き物の色をテーマにした万年筆インクです。

当店の数多くあるオリジナルインクの中でもこのシリーズは大変好評で、キングダムノートスタッフが企画し造る独特な世界観と色味が、インク沼の世界では『ちょっと変な感性を持った集団』とお墨付きをいただいております。
(とても名誉あるお誉めの言葉と捉えております)

その他にもインク沼の住人にはとても魅力的な内容になるのではと今から期待大です!!
是非、多くの方にご覧いただければ幸いです。

キングダムノート別注 日本の生物シリーズ 「ウミウシ」50mlのお買い物はこちら >>
キングダムノート別注 日本の生物シリーズ 「ダンゴウオ」20mlのお買い物はこちら >>

大切なことですのでもう一度

2023年7月16日(日)
7:30~放送

日本テレビ『シューイチ』

 

※詳細は『シューイチ』ホームページにて予告をご覧ください。
※『シューイチ』は情報番組のため、緊急事態や大きなニュース発生した場合は延期、または中止となる場合がございます。ご了承くださいませ。
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普段から万年筆を持ち歩く方も多いと思いますが、
旅行の時など数日家を空ける場合はインクの補充が心配な方も多いのではないでしょうか。

そんな時、両用式の万年筆であればスペアのカートリッジを持っていく手段がありますが、ボトルインクしかない愛用の色を使いたい場合、瓶ごと持ち運ぶのは重いしかさばる…

今回はそうしたインクの持ち運びに便利なグッズを紹介したいと思います。

▪ビスコンティ トラベルインクポット

イタリアの筆記具メーカー、ビスコンティが開発したトラベルインクポットは
まさに今回のテーマにぴったりな、機能的なインクポットです。

【使用方法】
1.本体のキャップを取り、付属のスポイトで窓部分の線までインクを入れる。

2.万年筆の吸入ピストンは押し下げた状態(コンバーターも同様)で、ペン先を本体にしっかりと差し込む。

3.本体が万年筆の上側に来るように持ち、ペン先がインクに浸った状態で吸入する。

吸入後、インクポットが下、万年筆が上にになるように戻し、インクポットから差し込んである万年筆を外したら本体は蓋をし、万年筆に付着した余分なインクをふき取って吸入完了です。

逆さにして吸入する仕組みにより、少ないインク量でも吸入しやすい構造となっています。
インクポットのキャップのなかにはインク吸い取りのためのスポンジが入ってるので、スムーズかつスピーディに
外出先でのインク交換が可能となります。

本体は16mm×128mmと、太めの筆記具程度のサイズなので、ペンケースにも収められ、携帯性も考慮されており、おすすめです。

VISCONTI ビスコンティ アクセサリ ユニバーサルトラベル インクポットのお買い物はこちら >>

▪キングダムノートオリジナル スポイト付きインクボトル 30ml

キングダムノートオリジナル商品では正にベストセラーの中の1つ。
ふた部分にスポイトが一体化したインクボトルです。
シンプルなスクエア形状なので、サイズが大きかったり特殊な形状のインクボトルから移し替えることで持ち運びがしやすくなります。

スポイト付きなのでこぼしたり手を汚す心配も軽減できます。
さらに開口部が大きいので、太い軸の万年筆でも吸入がしやすい点でもおすすめです。
KINGDOM NOTE キングダムノート スポイト付きインクボトルのお買い物はこちら >>

▪セーラー 空インクボトル 10ml

次にご紹介するのは、先ほどと同じく空のインクボトルですが
セーラーから登場したこちらのインクボトルは10mlの特に小さなサイズの空きボトルです。

書き込み用のラベルが付属するので、入れたインクの色がわからなくなることを防げる親切仕様。
こちらもシンプルな形状ですが、より小さなサイズなので複数の色のインクを持ち運びたい方には
こちらがおすすめです。
SAILOR セーラー 空インクボトル 容量10mlのお買い物はこちら >>

いかがでしたでしょうか。
インクを携帯する手段も、使い方によって様々な方法が考えられます。
この記事が気づきとなり、快適な万年筆ライフの一助となれば幸いです。
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次回は、
そもそもインクは持ち運びたくない!
カートリッジも持ち運びたくないのだ!
という方の為に、
軸内に一般的な量よりも多くのインクを保持できる万年筆を紹介いたします。

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独創的かつ革新的な
シェーファースノーケル -前篇-

2023年07月05日

みなさまこんにちは。
唐突ではありますが、好い筆記具とはなんでしょうか。

書きやすい、手に合う。
長く使う事ができる、美しいデザイン。

様々な意見があるかと思います。
その答えはなかなか出ず、だからこそ筆記具は面白いのですが、私個人は手にした時に心躍る、そんなペンが好きです。

手にするとき、文字を記すとき。
また、それをペンケースへ戻すとき、
心弾むような、わくわくするようなそんな筆記具。

心躍ると言いましても、感じ方は人それぞれかとは存じますが、心躍る筆記具という存在を共感いただけたら…と、そんな思いで文章をつづっております。

今回は、私の思う心躍る筆記具の一つとして、
「シェーファー スノーケル」をご紹介いたします。

「スノーケル」という非常にユニークな万年筆の誕生に至るまでには、先ずは、SHEAFFER シェーファーという会社の説明を…。

少し長くなりますが、お付き合いいただければ幸いです。

アメリカを代表する万年筆メーカーの一つとして知られるシェーファーは、ウォルター・A・シェーファー氏が1907年にレバー式吸入機構を発明したことを端に発し、1913年にアメリカのアイオワ州フォートマディソンで創業しました。

当時、画期的なインク吸入方式であったレバー式の万年筆の発明により、シェーファーは成功をおさめて新興メーカーながら短い期間に市場の一角を占めるようになります。

1920年に”生涯保証”を謳って発売された「ライフタイム」は、他のブランド製品と比べて約3倍と高価であったにも関わらず、当時のアメリカでもっとも売れた筆記具となりました。

1924年に導入された「ラダイト材」を用いた鮮やかなジェードグリーンのセルロイド製品は、戦前における華やかなカラー軸の一大ムーブメントを引き起こし、その天冠に設けられた「ホワイトドット」はシェーファーのブランドアイコンかつ高品質の証明となりました。

その他にも、1929年発売された上下が尖った外観が特徴的なモデル「バランス」は、現在一般名詞として使われるバランス型の名前の由来となっています。

このように功績を上げればきりがないほど、革新的なモデルをいくつも生み出したシェーファーは、長い筆記具の歴史のなかでも燦然と輝くメーカーのひとつですが、同時に愛好家の心をつかんで離さない、独創的な機構をいくつも生み出しているメーカーでもあり、レバー式の発明に始まった、その歴史の中でも「スノーケル式」は独創的かつ革新的な吸入方式でした。

さて、ここからがようやく、本題のスノーケルの話となります…

「シェーファー スノーケル」は1952年に初代モデルが発売され、1968年まで製造されました。

その吸入方法は、同社で1949年に採用されたタッチダウン式と同様に、尻軸シリンダーを押し込む際に生じる空気圧を利用して、軸内のゴムサックを圧縮し、ゴムサックの復元力でもってインクを吸入するというものですが、その最大の特徴は、製品名でもあるスノーケル管(下記画像参照)を用いることにより、ペン先をインクに浸けずに行われる吸入動作です。

下記の説明書の通りですが…吸入動作は概ね以下の流れです。

1.尻軸を回すことでペン芯内を貫通する細いスノーケル管が繰り出して、尻軸シリンダーを引き出す。

2.スノーケル管の先端部分のみをインクに浸けた状態で尻軸シリンダーを押し込み数秒間待つ。

3.尻軸を回してスノーケル管を格納する。

スノーケル管を用いての吸入動作を行うことで、インクが付着する部分はスノーケル管のみとなり、インク吸入のさいにペン先を拭う必要がなく、吸入後すぐに筆記することが可能な構造を実現しています。

複雑かつ見た目のインパクトも大きなこの構造ですが、個人的な意見としてはスノーケルは量産された万年筆の中で、もっとも成功したメカニカルな吸入機構ではないかと思います。


・上二枚 → 繰り出されたスノーケル管
・左下 → スノーケル管先端部アップ
・右下 → ペン芯に収納された状態

このような複雑な吸入機構が誕生した背景には、
第二次大戦後にボールペンが普及してきたことがあります。

従来の筆記具市場は万年筆の独擅場といって差し支えないものでしたが、ボールペンという新たな筆記具の登場によって、そのシェアを大きく奪われていきました。
(クロスのクラシックセンチュリーは1946年発売)

その為、ボールペンの台頭に対抗するために、ボールペンのようにインクを簡単に補充することを目指して、各社でインク補充方式の試行錯誤が行われており、その中でシェーファーの出した答えがスノーケルだったのです。

そのため発売当時の広告では「ENDS “DUNK FILLING”」と大書されているように、ペン先をインクに浸けずに吸入が完結し、拭きとる手間がないことを利点を訴えています。

この”dunk free”を宣伝するために、シェーファーは多くの著名人を広告に採用するなど、創業以来で最大のキャンペーン活動を行い、社運をかけてこの吸入機構の革新性と使いやすさを宣伝しました。

また同時に多くのカラーバリエーションとラインナップ、そして字幅(16種類!!)を展開する力の入れようでした。

結果として、スノーケルは大ヒットを記録することとなり、シェーファーは市場のトップメーカーへ返り咲き、1950年代のシェーファーを代表する商品として、後世まで語り継がれることとなりました。

いささか長い文章になってしまいましたが、大まかにスノーケルについてお分かり頂けたかと思います。

外観上大きな特徴で、注射針やストローにも例えられるスノーケル管のインパクトは大きく、井上ひさし氏の小説『四捨五入殺人事件』にて殺人のトリックに用いられるなど様々な逸話にも事欠かないスノーケルですが、実際にスノーケルの万年筆を使用してみると、その見た目の奇抜さに相反して、よく考えられた構造と高い信頼性をもち(ゴムサックなどのメンテナンスは必須ですが)、当時のシェーファーの技術水準の高さを感じさせます。

私自身、はじめて見たときにはものすごい衝撃を覚え、何度も水を吸っては出してを繰り返して、何日も飽きずに観察していました。

当初の目的としては、簡便なインク吸入を求めて生み出された万年筆ですので、吸入動作を楽しんでいるのはすこし逆説的ではありますが、それでもこのスノーケル管を通してインクの補充するたびに心躍るものがあります。

 

具体的なモデルの解説については、後編に続きます…

SHEAFFER スノーケルのお買い物はこちら >>

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【参考サイト】
Jim Mamoulides(2001).”The Snorkel: A Sheaffer Innovation In Filling”.PenHero.com.
https://penhero.com/PenGallery/Sheaffer/SheafferSnorkelGuide.htm,2023年5月30日閲覧

Jim Mamoulides(2016).”Sheaffer Snorkel 1952-1959″.PenHero.com.
https://penhero.com/PenGallery/Sheaffer/SheafferSnorkel.htm,2023年5月30日閲覧

F.G. Thomas.”Fifty Years of Sheaffer Fountain Pens 1953 – 2003.”.sheaffertarga.com.
https://www.sheaffertarga.com/Sheaffer%201958%20to%202003/Sheaffer%20Pen%201958%20to%202003.html,2023年5月30日閲覧

F.G. Thomas.”WALTER A.SHEAFFER.”.sheaffertarga.com.
https://www.sheaffertarga.com/Sheaffer%20History/History%20of%20sheaffer.html,2023年5月30日閲覧

日本筆記具工業会,”<万年筆の歴史>詳細年表”.日本筆記具工業会.
http://www.jwima.org/mannehitsu_web/01rekishi/rekishi_nenphou.html,2023年5月30日閲覧

【参考文献】
すなみまさみち/古山浩一(2007).『万年筆クロニクル』.枻出版社
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YARD・O・LED
受け継がれるメカニズム

2023年06月30日

創業1822年。
創始者サンプソン・モーダンが、1882年頃に12本の芯を胴軸に収納する世界初の画期的な繰り出し式ペンシルを発明し、その歴史が始まります。

1934年。
英国にてブランドを設立した YARD・O・LED -ヤード・オ・レッド-。

『1ヤードの芯』という意味のヤード・オ・レッド。
3インチの芯が12本、胴軸内に格納され、全部で36インチ=1ヤードになることからその名がとられています。

以来、この機構や当時主流であった1,18mm芯、19世紀当時流行していたデザインで筆記具を作り続けています。

そんな伝統的な繰り出し式ペンシルはノック式と異なり、
内部パーツを取り出して芯交換を行います。

ヤード・オ・レッドの美しさに憧れて手に入れたものの、
『これは一体どうやって芯を入れるのか…?!』
キングダムノートにも年に数回、困惑してお問い合わせが入ります。

今回は動画にて芯交換のレクチャーを行います。

①天冠内部パーツを反時計回りで取り出す


②芯を固定しているリードホルダーをスライドさせる


③リードホルダー右の凹凸部分と左の凹部分をしっかりと固定し、先端に向けて押し出し芯を外す


④胴軸の留めネジを反時計回しで取り外し、ストック芯を取り出す


⑤取り出した芯をリードホルダーに装填してスライドさせる


⑥内部パーツを胴軸に時計回しに収納する


⑦天冠を時計回しに回し続け口金から芯が出るのを確認して完了

今でこそ、メカニカルペンシルといえばノック式が多く採用されているなか、創業当時から変えることなく繰り出し式をハンドメイドで作り続け伝統を受け継いでいく、古きを愛するイングランドらしさ溢れる筆記具ブランドです。

YARD・O・LED -ヤード・オ・レッド- のお買い物はこちら >>

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現代の名工による不朽の名品

2023年06月25日

セーラー すす竹万年筆

大ぶりのサイズ感と、竹材でできた軸で圧倒的存在感を誇るすす竹万年筆。
天然素材ゆえ節の位置や数がそれぞれ異なり、一本一本異なる造形や色味も魅力です。
節が全くない個体も存在します。

すす竹は、日本古来の建築物である茅葺き家屋の屋根床材が、囲炉裏の煙によって100年以上燻されたものです。

煙の当たり加減により茶褐色や飴色に変色し、複雑な深みや時代を感じさせる個性的な表情が生まれます。

長期間燻されていることから紫外線に強く、天然の素材にありがちな日焼けや変色などがほとんどありません。

茅葺家屋の減少により、すす竹そのものの数が希少傾向にあります。

その為、セーラー万年筆でも増産をすることが出来なくなり、現在では製造終了。
その後、年月の経過とともに徐々に幻の名品となって参りました。

セーラー万年筆が制作するすす竹万年筆は、京都洛西の旧家の屋根裏で150年以上、囲炉裏の煙によってゆっくりと燻されたすす竹が使用されています。

茅葺屋根の古民家

竹という植物の特性上、節の位置や径が一本一本異なり、重心の位置や胴軸の長さを均一にすることは非常に困難を極めます。

手間をかけ丁寧に厳選された素材を使用した万年筆は、別のモデルではないかと思うほど個体により表情が異なります。

そして、ペン先は存在感のある軸に相応しい長刀研ぎ。
長原宣義氏によって考案された名ペン先は継承され、現在も限られたペン先職人のみで生産されております。
生産が追い付かず度々受注が休止するなど、国内外問わず人気の高いペン先です。

長原宣義氏の刻印が彫られた純金プレート

トメ・ハネ・ハライが美しく書ける漢字に適した精緻なペン先により、滑らかで快適な筆記をお楽しみいただけます。


長刀研ぎの過去ブログはこちら >>

長原宣義氏の代表作とも呼ばれるすす竹万年筆は希少性も高く、
手元に置いてずっと眺めていたくなるような、まさに一生ものの名品です。

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店舗限定<br>『雨の日キャンペーン』

店舗限定
『雨の日キャンペーン』

2023年06月19日

街路樹の緑が深みを増し、
雨の合間の晴れた日が少し夏めいてまいりました。

お足元悪い中、ご来店いただくお客様に少しでもお喜び頂きたいという思いから、
梅雨の期間限定で『雨の日キャンペーン』を開催します。

【期間】
▪2023年6月20日(火)~気象庁発表の東京地方梅雨明け宣言まで

【内容】
▪店舗限定
店舗情報はこちらから
▪税込10,000円以上の商品全品5%OFF
※特価品除く
▪新品レオナルド アウロラ筆記具 10%OFF
※特価品除く
▪買取成立総額10,000円以上で5%UP
※買取成立総額5,000,000円/最大で250,000円UPまでを上限とします。

【適用条件】
▪当日、午前9:00時点の気象庁が発表する東京地方降水確率が50%以上
 ※50%以下でも当日雨が降り始めた場合は急遽開催します。
気象庁天気予報はこちらから
▪LINE友だち登録していただいた方、もしくは既にしていただいている方
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【案内方法】
▪開催当日の朝にTwitterで告知
※当日途中開催を決定した際も都度Twitterで告知をします。

【ご注意事項】
▪当日、途中開催を行う場合はキングダムノートが位置する新宿の天気で判断をします。
▪台風などの悪天候で、明らかに危険を伴う際の無理なご来店はお見送りください。

恵みの雨…紫陽花が美しい…など魅力も沢山の日本の梅雨。
ただ、少しばかり蒸し暑くて過ごしにくい気候というのは皆さま共通だと思います。

 

是非『雨の日キャンペーン』開催の、
この機会にキングダムノートで楽しくお買い物をしていただければ幸いです。

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清王朝を象徴する五爪の龍

2023年06月17日

モンブラン
清王朝 -Qing Dynasty- リミテッドエディション2002

国や時代によって姿、立ち位置を変えながらも一貫して力や富の象徴として存在した龍。
特に中国では、古くから多くの生物が行き着く先、護国の神、皇帝の象徴など様々に描かれてきました。

このペンには三体の龍が描かれています。

一体はペン先に少しコミカルな笑う龍。

キャップにはクリップを境に上下に向かい合う迫力のある二体の龍。

この三体の龍には清王朝を象徴する1つの共通点があります。

それが五つの爪を持つ龍であることです。

この龍は五爪の龍と呼ばれ、清王朝を代表するシンボルの一つといえます。
様々な生物が龍となる伝説が残る中国において、清王朝時代には最高位に位置する龍として、皇帝の象徴として用いられたものが五つの爪を持つ龍です。

それ故に、皇族には四爪の龍、役人や平民などは三爪の龍のみが下の階級の象徴として使用を許され、五爪の龍を皇帝以外の者が用いた場合は犯罪者として重い罰を課せられたそうです。

演舞等で皇帝の役柄を演じる際にも、四爪の龍までしか用いることが許されず、暦の十二支でも多くは四爪の龍が用いられていることから、五爪の龍が皇帝の象徴としてどれほど広く認知されていたのかということが分かります。

キャップの素材に使用されている翡翠は、中国において古くから仁義礼智信の五徳を持ち、福を象徴するものとして重宝されてきました。

五爪の龍が用いられた時代と同じ清王朝の西太后は、多くの悪行から中国三大悪女としても知られる女性ですが、同時に翡翠の熱狂的な収集家としてもよく知られた人物でした。

権力者を魅了し、その身を飾ったことから冨や財産の象徴としての側面もあるという所説も…。

中国最後の王朝を象徴するテーマとして、相応しい二つが掛け合わされたペンになっていると言えます。
激動の時代に生まれた文化が刻み込まれた逸品です。

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“偉大なる者”<br>の称号が名付けられた万年筆

“偉大なる者”
の称号が名付けられた万年筆

2023年06月14日

ビスコンティ
リミテッドエディション イル・マニーフィコ ラピスラズリ

ルネサンス時代の最も強力で熱狂的な後援者の一人
ロレンツォ・“イル マニーフィコ” ・デ・メディチの、芸術とフィレンツェの伝統に対する大きな情熱を讃えたモデルです。

イタリア語で“Il Magnifico -イル・マニーフィコ-”は、
“偉大なる者”の意味で君主に使われた称号です。

“Il Magnifico -イル・マニーフィコ-”
だけで通るのはロレンツォ・メディチのみ。

実業家、外交官、政治家、そして学者の後援者だったロレンツォ・メディチは、ルネサンス時代の最も強力で熱狂的なパトロンとして今もなお語り継がれています。

ボディはフィレンツェ洗礼堂からインスピレーションを得た八角形。

いぶしのような加工が施されたバーメイルのキャップと尻軸には、メディチ家のメディチ家古代のユリ紋章があしらわれています。

胴軸は天然石のラピスラズリが贅沢に使用されています。

ペン先は18K。アンティーク調な首軸のパーツもあじがあります。

世界限定188本。

イル・マニーフィコはシリーズとなっており、他にも異なる天然石があしらわれたモデルが存在します。

このシリーズは天然石が異なっても全てルネサンス調の雰囲気で統一されており、手に取ると芸術の世界に迷い込んでしまうような美しいシリーズです。

ビスコンティリミテッドエディション イル・マニーフィコ ラピスラズリのお買い物はこちら >>

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アートとペン<br>~エス・テー・デュポンと印象派~

アートとペン
~エス・テー・デュポンと印象派~

2023年06月12日

筆記具がお好きな方は、フランスの高級筆記具ブランドとして「S.T.Dupont -エス・テー・デュポン- 」の名前をご存じの方も多いかもしれません。

もともとは、フランス パリに住む上流階級の人々に向けた旅行鞄の製造から始まり、創業者であるシモン・ティソ・デュポンが1872年にパリのデュー通りに工房を設立しました。

実はそんなデュポンの記念すべき誕生の年に、美術界においても非常に重要な作品が描き上げられていたのです。

▪ピエール=オーギュスト・ルノワール
『クロード・モネの肖像』

19世紀のフランスを代表する画家のひとり「クロード・モネ」。
『睡蓮』のシリーズ等が有名ですが、特に『印象 日の出』は、後に「印象派」と名付けられた芸術運動の名前の由来となったことでもよく知られている作品です。

そして、本日のテーマとなる作品がこちら。
1872年に描かれた本作はフランス北西部の都市、ル・アーヴルの港町にあるホテルの窓から見える風景が描かれています。

▪クロード・モネ
『印象 日の出』

独特な構図で広く取られた水面には反射する太陽の光と波の様子が厚く目に見える筆跡で塗られ、全体のバランスをとるためにあえて細部は簡略化した描き方にするとともに、日の光による暖色と水面の寒色で画面全体を覆った非常に大胆な色彩が特徴的です。

モネが残した作品は、それまで良しとされてきた絵画のあり方とはかなり方向性の異なるものでした。

18世紀中頃まで、フランスでは「新古典派」が主流の時代で、正確なデッサンに基づく写実的な画風や落ち着いた色彩、荘厳なテーマを持つ歴史的、宗教的な絵画がもてはやされていました。

しかし、モネ自身の理想や芸術学校で出会った仲間の影響もあり、より自由な色彩や筆跡が目に見える描線を多用し、「新古典派」では低俗なものとして扱われた風景画や実生活の風景を扱った作品を制作するようになります。

モネをはじめとした複数の画家がこうした特徴のある作品を発表するようになりましたが、当初は周囲の評価は低く、「新古典派」の影響が強いサロンに出品を果たしてもあまり受け入れられず、なかなか売れませんでした。

「印象派」という言葉自体も、もともとは皮肉を込めて、悪意のある表現として評論家が出品されたモネらの作品を評したものでした。

それでも自身の表現を貫き、徐々に顧客を増やしていった結果、海外、特にアメリカの市場での売れ行きが良く、そこから逆輸入的にフランス国内でも改めて評価されることとなりました。

現在では、「印象派」の画家や作品は日本でも人気が高く、企画展でも見られる機会が多いですが、評価されるまでの道のりは決して短くはなかったようです。

美術史において非常に重要な意味を持つ作品となった『印象 日の出』ですが、その作品と同じ長さの歴史を歩んできたエス・テー・デュポンとのコラボレーションはとても意義深いものだと感じます。

そして、今回ご紹介するモデルはエス・テー・デュポンのフラッグシップモデル。
ラインDをベースに、デュポン独自の漆の調色技術によってクロード・モネの名作を再現したモデルです。

▪リミテッドエディション ラインD モネ

キャップチューブは、モデル名にもなっているモネの代表作「印象、日の出」の絵画を再現したデザインが施されています。
職人の手作業により、奥行きのある画面が天然漆と顔料によって美しく表現されています。

胴軸には、水面の波のさざめきを想起させる、陰影のある深いブルーの天然漆が施され、キャップチューブに描かれた水面により一層の広がりを感じさせてくれます。

胴軸リングには、天然漆を使用した製品にのみ刻印される”漆の葉”のマークが施されています。

エス・テー・デュポンと、クロード・モネの『印象 日の出』それぞれが誕生した、記念すべき年”1872″を称え、万年筆とボールペンはそれぞれ1872本限定で生産されました。

フランスのみならず、世界的に影響を与えたエポックメイキングな絵画作品を筆記具の軸に見事に落とし込んだ、芸術性の高い逸品です。

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