『源氏物語』―宇治十帖― 中君のはなし

2020年05月11日

中君が描かれているのは「橋姫」にて、
姉の大君と共に楽器を奏でている場面です。
「大君のはなし」はこちらから

この時、中君が着ていたのが莟菊の襲(つぼみぎくのかさね)。
9月9日の重陽を彩る菊の花のような色の袷です。
秋のはじまりを感じ、中君の華やかさと穏やかさが表現された配色です。

秋が深まりだした頃の真夜中。
月に霞がかかる夜のこと…
「扇ならで、これしても月は招きつべかりけり」

琵琶の撥(ばち)を片手に、
「扇でなくこの撥でも月を招くことができましたよ。」

雲に隠れた月が出てきた時、
こんなことを言って姉の大君を笑わせたようです。
月を仰ぎながら琵琶を奏でる中君の姿は
きっと可憐だったでしょう。

付属のボトルインクは中君が纏っていた襲をイメージした穏やかな緑色です。


中君のような華やかさと可憐な姿をお楽しみください。

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