ルーペで覗くペンポイントの世界。
今回の「ペンポイントの世界」は、
最近、「ペリカン・インターナショナル・コーポレーション」(親会社のマレーシア企業)が、フランス企業の「ホールダム」に筆記具事業を売却することで大きく話題になった「ペリカン」をご紹介します。
まずは簡単な歴史から…
1838年に創業した「ペリカン」は、絵具の製造からはじまり、1863年から経営に参加していたギュンター・ワーグナー氏のワーグナー家の紋章から、現在も使われている「ペリカン」マークを商標登録し、文房具やインクリボンなどを幅広く製造しました。
万年筆の製造は、1929年からと比較的に後発メーカーでしたが、近代的なピストン吸入方式を備えた万年筆は「100」シリーズに発展。
戦前から戦後にかけてのドイツの代表的な万年筆として大ヒットを記録し、現在でもピストン吸入式の万年筆はペリカンの代名詞となっています。
今回取り上げる、「M800」シリーズは、言わずと知れたペリカンのフラッグシップモデル。
1987年に登場して以来、強い支持を受けている現代における万年筆の代表格ともいえるモデルです。
惜しまれながら廃番になったレッドストライプ(ボルドー縞)が10年ぶりに復活し、M805のブラックストライプとあわせて、ストライプだけで4色と華やかなラインナップを構成しています。
当然、書き味にも定評があるモデルですが、M800の「ペンポイント」をご覧ください。
(ペンポイントの拡大画像はデジタルズーム換算で約40倍です。)
※舶来製品のペンポイントの個体差は国内製品より大きくでますので、下記の画像は傾向として参考にしていただければ幸いです。
極細字(EF)
細字(F)
中字(M)
太字(B)
極太字(BB)
こうして画像でご覧いただくと、感覚としてなんとなく感じていたことがクリアに見えてくると思います。
ペンポイントの形状としては、
・「EF」および「F」
・「M」
・「B」および「BB」
このように大別できるでしょうか。
【EFおよびF】
EFとFの字幅の違いが書いてみても、、、という風に、
時折、お客様よりお尋ねされることがございますが、ペンポイントの形状も、ほぼ同一でペンポイントの大きさが若干異なるという印象です。
ペリカンに限らず、舶来製品のEFとFはペンポイントの大小による区別されております。
スリットの間隔等により字幅は変動しやすいという印象ですが、描線は罫線のあるノートへの筆記も可能な細さであることが多いです。
【M】
ちょうどEFとBの形状の間をとったというような具合です。
上部から見たときのペンポイントの幅は、EFなどと比べて大きくとってあります。
スリットからペンポイントの角に向けてカーブを描いており、字幅の太さを出しつつ、筆記時のひねりもある程度許容する形状となっています。
描線はややふとく、ノートでは幅広めの罫線でないと字がつぶれることがあるかと思います。
ペンポイントが大きくなる分、紙へのアタリは柔らかくなり、滑らかな書き味がお楽しみいただけ、いわゆる万人受けするペンポイントはこのMあたりまでかと思われます。
【BおよびBB】
Bのペンポイントから、上部及び下部から見たときの幅が一気に大きくなります。
ペンポイントの角は丸めていますが、幅自体を大きくとっています。
他の字幅と異なり、縦線が太く横線が細い描線となります。
この縦太横細の太字はモンブランなど欧米系のメーカーの太字の特徴となります。
描線はかなり太くペンポイントの幅があるためにひねりなどにも弱く、ひねって筆記した際にかなりの割合でカスレが生じてしまいます。
万人受けする書き味ではなくなり、無地のノートなどに大きく書かなければ漢字などはほとんどの場合でつぶれてしまします。
しかし、大きなペンポイント特有のアタリの柔らかさと、潤沢なインクフローは万年筆特有の滑らかさなどを感じやすく、太字のペン先特有の魅力があります。
▪#500 B(極太字)
余談ですが、90年代辺りまでのペリカン製品の太字は、角研ぎなどと呼ばれるように角があまり丸められていません。
ひねりにかなり弱い反面、線にも角が立つメリハリのある描線が特徴でした。
▪EF-B比較画像
ひとことに万年筆といいましても、字幅によって、メーカーによって大きな違いがあることがおわかり頂けたでしょうか。
小さなペンポイントを眺めて想像するだけで、なんだかワクワクするような気分になります。
ペンポイントの世界を少しはお楽しみいただけたなら幸いです。
もしルーペをお持ちでしたら、お手元のペンをのぞいてみると意外な発見があるかもしれません。
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