「字幅」という単位

2017年11月11日

先日、お客様よりある問い合わせが。

「この万年筆の細字って、だいたい何mmくらいのことなの?」

この言葉を聞き、私は改めて字幅という単位について考えてしまいました。
当たり前のように細字、中字などと言っていますが。。。

万年筆の世界に長く関わっていると当たり前のように

「各メーカーによって字幅の基準は違う」

「海外メーカーよりも国内メーカーのほうが同じ字幅でも細い」

などという言葉が飛び交います。

私もその定型文を何度も口にし、ご案内をしていました。

確かにその事実に嘘は一切ありません。

そもそも字幅の違い、それを楽しむのも万年筆の醍醐味ではあります。

長刀研ぎのように縦横の線幅を敢えて変えているペンポイントもありますし、

使うインクの粘度やノートの紙質によっても字幅は変化します。

しかし冒頭のお問い合わせを受けた時、

確かに万年筆を初めて手にするユーザーにとって少々分かり辛い現状ではあるかもしれない。

それが新規ユーザーの参入障壁になっているのだとしたら、少しもったいないなあとも思った訳です。

しかしながら単位の統一。

これは簡単なことではありません。

本当に全社統一の字幅規格を作ろうと思ったらパラメータは幾つあるでしょうか。

「規定の紙に、ペン先の角度が〇〇度の状態で筆圧△grで横線を書いた時の幅が□□mm~□□mmのもの」
といった感じでしょうか?

ちょっと適当なので温度、湿度など他にも考慮する要素はありそうです。

インクの粘度、ペンポイントの大きさ、スリット幅などは自由なので、

その□mm幅の線を表現するための各社の個性は出したままで!

なーんて妄想をしてみたり。。。

余談ですが単位の統一に関して、ちょっと小噺。

NASAが火星探査を行った際、米国では長さの単位が統一されていませんでした。

そのため、ヤード基準チームとメートル基準チームの間で換算ミスが起こり

火星の周回軌道に探査機を乗せることに失敗したとか。。。

単位の覇権争いが招いた、なんとも笑えるような笑えないような話です。

ネット全盛期の昨今。

実物が手元にない状況で万年筆を購入する手段も増えました。

かつて、ネット通販で売ることは不可能と言われていたアパレル業界だって今やEコマースは大成功。

万年筆だって、いろんな工夫や判断材料を提供することでもっと書いやすく、

そして購入後のイメージのギャップがなくなればいいなと思います。

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ではでは、今回はこのへんで。

皆様の素敵なペンライフの一助となりますように。

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