最近、2020年の東京オリンピックの影響もあってか
「日本らしさ」
日本の伝統文化や、工芸などへの注目がますます高まっているなあと思います。
ガラス工芸や染め物、
無形文化遺産に登録されたのが記憶に新しい、手漉(てすき)和紙など。
わたしは個人的に興味があり
以前、「漆」について学ぶイベントに参加したことがあります。
気づけばもう昨年になりますが。
都内の教室で開催されたそのイベントは、
クラフト体験のようなもので、
専門的な勉強とはいえませんが、とても新鮮な体験ができました。
◆漆の美しさにはわけがありました
イベントで話を聞いて感じたのは、
漆の素材がいかに貴重で、またいかに手間のかかる繊細なものなのか、ということ。
イベントの趣旨としては、
「漆かき職人」の方のお話を聞きながら、
実際に漆を採取してみようというテーマのもの。
※職人さんの世界では、漆の木を削って、
漆を採取することを、「漆をかく」という言い方をするそうです。
実際に、漆をかいてみると、まーこれが結構大変。
木の表面をひっかいてキズをつけていくのですが、
生きている木は水分があって、固い!
漆はかいた瞬間からドバドバ出てくるものではありません。
少しずつ、じわりじわりと出てきます。
一気にたくさん傷をつけると木が弱ってしまうので、
時間と箇所をずらして徐々に慣らしていくのだそうです。
漆かき職人の方は、おもに夏の間中
毎日森を歩き回って、年間に約数百本の木から漆をとっているのだそうです。
年季の入った職人道具を見せて頂いたり
(漆独特の香りが染みついておりました。)
お話を伺ったりしながら、漆の奥深さにちょっぴり触れることができました。
現在、昔ながらの方法で漆をとる職人さんは、
日本に約20人ほどしかいないのだそうです。
また、漆の木が漆をとれるまでに
成長するには少なくとも10年はかかり、
普通、漆液は1本の木から牛乳ビン1本分程度しか取れないのだそう。
森中を歩き、漆をかき、少しずつ出てくる漆を集めて
さらにそれを精製して
工芸作家さんの手に渡って、何十にも塗り重ねて、仕上げていく。
漆がいかに貴重で、手間がかかっているのか・・・。
想像しただけで、気が遠くなりそう・・・。
◆日本の伝統の重みを感じる
今までは、ウルシのペンやウルシのうつわを見ても、
「ウルシは高級素材」
「ウルシの光沢って、つやつやしててきれいだなあ」
と、漠然とした感覚でとらえていたことに気づきました。
沢山の人の手から手へと伝わり、
やっと今もこうして「漆の技術」が受け継がれていること。
当たり前のことですが、これってやっぱりすごいことだなあ、と。
今、日本でも取り扱われている漆の多くは、中国産のものも多いので、
実際手にした品物が、純国産のであるとは限らないのかもしれません。
けれど、
手にしたときに私たちの心がシャンとするのは、
多くの先人たちが大切にしてきたもの、
作り上げてきたものの重みを感じるからかもしれません。
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1本1本、漆を施しているボディは、
手に取るたび
そのしっとりとした艶と、なめらかな質感に魅了される逸品です。
塗り重ねられた漆の色合いが、なんとも絶妙。
ぜひ手にして頂きたい万年筆です。
万年筆は、
もともとは日本生まれのものではありません。
けれど、それに日本の伝統が融合することで、
海外では真似の出来ない、日本ならではの美しさや個性を出すことができるんですね。
世界に誇れる、すばらしい技術だと思います。
素材ならではの美しさ、質感を堪能するときに
ほんの少し、
この記事のことを思い出して
そのモノの良さについて、思いを馳せるきっかけになればうれしいです。
みなさまに、
素敵なペンとの出会いがありますように。