国産の伝統技術が生んだ最上の美の万年筆といえば、
「蒔絵万年筆」ですね。
私も初めて蒔絵万年筆を見た時は、職人の伝統技術に
深く感動しました。
蒔絵といえば、「漆」。
美しく紅葉し日本の秋を彩る漆の木は、東洋にしか分布しておりません。
何千年も前から、人々は漆の特性を知り、使用していました。
例えば、日本の石器時代の矢は、石の切片を竹棒に挟み、藤蔓などの皮で巻き、漆で固めたものでした。漆の染み込んだ所は腐らず残っているそうです。
また、縄文土器と一緒に、漆を塗った椀や籠、耳飾なども見つかっており、何千年も前から漆が使用されていたことが伺えます。
漆芸は貴族社会の調度品にも用いられ、時代とともに手の込んだ様々な技法が開発され、日本独特の
蒔絵工芸が確立されていきました。
漆芸は千数百年にわたり、今も日本の伝統工芸として受け継がれています。
蒔絵には様々な技法があり、
今回は「研出蒔絵(とぎだしまきえ)」と「沈金」の技法についてご紹介させて頂きます。
まず、「研出蒔絵」とは、絵漆で文様などを描いた上から金銀粉・色粉などを蒔き、乾かしたのち透き漆
または黒漆を塗って乾燥させ、文様・金銀粉が見えるように研ぎ出したものを言います。
現在、当店 KINGDOM NOTEでも12月26日まで「蒔絵万年筆フェア」を開催させて頂いておりますが、
パーカー 万年筆 デュオフォールド センテニアル 蒔絵 リミテッドエディション 春爛漫
の商品にも「研出蒔絵」の技法は使用されております。
また、「沈金」とは、漆面に専用のノミで文様を彫り、その彫り跡に漆を入れ、
金箔や金粉で色を置くことで絵柄を表す手法です。
「沈金」は蒔絵技法と異なり「塗り」ではなく「彫り」の技法である為、
一度制作を始めると失敗しても修正が出来ず、いかなる失敗も許されない真剣勝負の技法です。また、絵を描くのとは違い、椀などの曲面に沈金を施すには高度な技術を必要とし、作家の積み上げてきた経験と精神力が如実に作品に反映される技法でもあります。
それゆえに「沈金」の技法は、強靭な精神力と卓越した技を併せ持った作家のみが出来る至高の技法なのです。
「沈金」の技法が使用されているのが、
ペリカン 万年筆 加賀沈金『春秋二季』桜舞 です。
その他、蒔絵の技法には、蝶貝、あわびなどの貝殻の裏側を薄く剥いで小片とし、それを漆で塗り固め研ぎ出して仕上げる「螺鈿(らでん)」などの技法もございます。
一度手に取って頂くと、一本一本に込められた職人の「魂」を感じて頂く事ができます。
是非一度、蒔絵万年筆をご覧下さい。
皆様のご来店を心よりお待ち申し上げております。