万年筆のインクに油性が存在しない理由

2025年10月30日

なぜ万年筆用インクに
油性が存在しないのか…

万年筆がボールペンの代わりになったら
心地よい筆記感を
もっと日常的に味わうことができるのに…

そう考えたことはありませんか

ご存じの方が多いかと思いますが
万年筆用に使うインクは全て水性インクです

顔料と染料という分け方はできますが
そのどちらもが
万年筆用の水性インクとして製造されています

おそらくどこを探しても
万年筆用の油性インクは製造されておりません



しかし当店にも時折
お客様からお問い合わせがあります

それではなぜ
万年筆のインクには油性がないのでしょうか



油性インクの多くは
染料(顔料)に
アルコールなどの有機溶剤と樹脂
そしてその他の
添加剤を加えることで製造されています

染料(顔料)で色を付け
樹脂で筆記後のインクを定着させています

そして
有機溶剤によりインクに粘度を与え
速乾性を備えます

万年筆に使用できない理由としては
粘度が高く
有機溶剤を使用していることです



今回はボールペン用の油性インク(左)と
万年筆用の水性インク(右)を
水に落としてみます

油性インク(左)は
水から弾かれるように浮き上がり
水性インク(右)は
水に溶けるように広がります

万年筆は
「毛細管現象」によって
補充されたインクをペン芯からペン先へ
そして紙へと伝えています

この毛細管現象を引き起こすことができる
適切な粘度であることが必要です

想定されているものよりも
粘度の高いインクを使用した場合
ペン芯へのインクの供給が止まります

一般的に油性インクは
使用されている有機溶剤の揮発性が高く
速乾性に優れています

その性質が万年筆の構造には適していないのです

ボールペンで使用する場合は
問題の少なかった有機溶剤の揮発が
元々高いインクの粘度を
さらに強くすることに繋がり
洗浄の困難な
油性インクが軸内部で固着した結果
万年筆自体が使用できなくなってしまうのです

このことから万年筆で
油性インクを使用することはできません



もし油性インクのような乾燥後に
耐水性を持つインクを万年筆でも使いたい場合は
「顔料インク」や
「古典インク」がございます

油性インクの持つ
ガラスとプラスチックへの筆記が可能な点や速乾性は
顔料インクは性質として持っていませんが
染料インクと比較し
乾燥後には耐水性と耐色性を持つため
長期保管に向いています

そのぶん注意点としては
染料インクに比べ
内部で乾燥してしまうと洗浄は困難となり
メーカーにて高額なオーバーホールや
内部パーツ交換が
必要になる場合があります

また万年筆の素材によっては
故障のリスクも高くなりますのでこまめな洗浄を
そして
長期間使用されない場合は
インクをしっかり抜き
内部に残らぬように洗浄を行う必要があります



キングダムノートで取り扱いの
顔料・古典インクのお買い物はこちら>>



万年筆を使用する際のインク選びも楽しみの一つ

用途に合わせたご選択の一助になれば幸いです





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