現在、ペリカンのスーベレーンはM300-M1000までの5サイズがラインナップ。
同じくモンブランもマイスターシュテュックと冠するモデルをモーツァルト、クラシック、ルグラン、149と4サイズ展開をしています。
そしてかつてのデルタもミニ、スリム、ミディアム、オーバーサイズと複数サイズの用意がありました。
このようにフラッグシップモデルに複数の選択肢があるブランドは少なくありません。
この商品展開には、どのような意図が込められているのでしょうか。
その理由をご説明するには、1970年代まで遡ります。
アメリカの心理学者、ハワード・コスモウィッツは言いました。
「完璧なペプシコーラは存在しない。あるのは、完璧なペプシコーラ”達”だ」
これは誰もが最も美味しいと感じるただ一つの味は存在せず、複数の最善の答えがあるということを表し食品業界に革命を起こした有名な言葉です。
その事実は、かつて0.1%単位で甘味料を調節し、最も美味しいと感じる味をひたすら追求していた飲料メーカーにとって衝撃でした。
「1つの完璧な味」を求めることがそもそもの間違いだったのです。
万年筆にも同じことが言えるかと思います。
ベストなバランスや重量感をもつ、完璧な万年筆はない。
あるのは、完璧な万年筆”達”なのです。
理想の万年筆は?と聞かれて「低重心で、しなる柔らかな書き心地のもの」と答える人は多いでしょう。
しかしながら、そう答えた人達の中にも「重心が高めで、硬めのしならない書き心地のもの」が実際は使いやすく感じる人達が一定の割合で確かに存在するのです。
だからこそ各メーカーは複数のサイズ、そしてペン先の硬さを用意しているのではないでしょうか。
146と149に優劣はありません。
M400とM800にも優劣はありません。
あるのは、どちらも「誰かにとっての至高の万年筆である」という事実です。
ぜひ万年筆選びのご参考にしていただければ幸いです。
みなさまがご自身にとっての「完璧な万年筆」に出会えますように。
ではでは、今回はこのへんで。
皆様の素敵なペンライフの一助となりますように。
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