歴史上の芸術や文化に対して多大な影響を与えた人々を称え制作されるパトロンシリーズ。
紀元前800年頃に伝説を残す女王の名セミラミスは、1992年から発売を開始したパトロンシリーズの第5作目となります。
赤を基調として、金色の繊細なパーツが合わせられた豪奢なつくり。
クリップの上部やペン先にも、他のモデルでは見られない独特なデザインがあしらわれています。
これらは一体セミラミスとどのような関係があるのか、今回はそれを紐解いていこうと思います。
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まず、赤色とセミラミスの関係性です。
セミラミスは女神とその信徒の間に生まれ、生後間もなく捨子となり鳩に育てられた伝説を持ちます。
アッシリア語で鳩を意味するセミラミスは、その特殊な出自から与えられた名前です。
鳩といえば白をイメージするのは古今東西変わらないもの。
セミラミスを題材に描かれる絵画の多くでは、白を基調とした衣類に身を包む彼女の姿を見ることができます。
ではなぜ、この万年筆は赤と金をセミラミスのモチーフカラーとして選んでいるのでしょうか。
古代の文献に語られる機会の多いセミラミスは、先述の絵画に描かれるだけでなく、歌劇の題材として用いられる機会が非常に多い人物でもありました。
セミラミスの登場するオペラは、1648年から1910年までの間に65作以上もの発表がなされています。
その中でもロッシーニ作曲のセミラーミデにおける彼女は、当時から赤と金を基調とした衣装を用いていることが絵画から見て取れます。
文化、芸術への影響を称えて制作されるパトロンシリーズにおいて、セミラミスを描いた最も有名な作品をモチーフとして選択したとすれば、万年筆の主要色に白ではなく赤を採用したことは不思議なことではないと考えられます。
次に、各パーツの意味深なモチーフについて注目してみましょう。
クリップに描かれた四足の動物。
一見セミラミスとの直接的な関係を持たないこの紋章。
これは女神イシュタルの紋章動物が用いられています。
イシュタルはメソポタミア神話において愛と豊穣、戦や王権など様々な権能を持つ美の女神です。
伝説に残るセミラミスの名は、後世の神話においてイシュタルと同一視されることがあり、ギリシア神話にて美の女神アフロディーテの原型となったとされています。
史実のセミラミスとは直接的な関係性はありませんが、こちらも配色と同様に安直に鳩を配置するのではなく、後の世に信仰という形で文化的な寄与のあったことを評価しての採用と考えられます。
ペン先にもモンブランの定番製品では見られないこだわりが見て取れます。
先端付近にはこの万年筆の製造年1996と共にイシュタル門をイメージした彫刻が施されています。
イシュタル門は紀元前575年に新バビロニアで建造されたかつての世界7不思議の一つであり、現代ではベルリンでその復元された姿を見ることができます。
細かなパーツ一つをとってみても、モチーフとなったセミラミスへ繋がっていく。
いまだ解明されていない世界七不思議のように、難解なモチーフが用いられた一本です。
まだ全てを語りつくせておりませんが、残る謎解きはこの万年筆を手に入れた方にこそ挑戦していただきたいと思います。
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