ダークな寓話「変身」をモチーフにした万年筆

2023年10月27日

虫に変身した男の奇妙な物語…

フランツ・カフカは実存主義文学の先駆者であり20世紀前半の代表的な作家の一人です。
そんなカフカの代表作、『変身』をモチーフにした万年筆がある事をご存知でしょうか。

モンブラン、作家シリーズの2004年がフランツ・カフカです。

『変身』は主人公のグレーゴル・ザムザがある朝、目を覚ますと「虫」になっていたというかなり奇妙な書き出しの短編小説です。

虫に変身してしまったのに、ザムザは日々の仕事や生活の事ばかり気にしていて、まだ自分が人間であると思っているという不条理な世界観が物語の中核です。

そんな世界観を表現している奇妙な雰囲気を纏った万年筆です。

天冠から円錐に、尻軸にいくにつれ角が立ち四角錐となるボディは「変身」してしまったザムザをイメージしています。

上部は円錐

後方に行くにつれ徐々に四角錐に変身

奇抜なデザインですが意外に持ちやすく実用的です。

コンバーターのようなピストンが内部に固定されており、一見すると両用式にも見えますがしっかり吸入式です。
※首軸から吸入器は外れません。

単純に尻軸を回す吸入式がほとんどの作家シリーズの中でも変わった造りです。
胴軸を外し吸入を行います。
前方から後方へ変身するデザインを重視したため、この少し変わった機構になったと推測されます。

18金のペン先にはザムザが変身した少しコミカルな虫が刻まれています。

少しぞわぞわする方もおられるのではないでしょうか…

作中ではあいまいに表現されておりなんの虫かはわかりませんが、モンブランは「ゴキブリ」と解釈したようです。

『虫の刻印がちょっとね…』
という感想もちらほら聞きますが、個人的にはこの万年筆の奇妙さを強調するアクセントとして一役買っているように思えます。

読書の秋を期にモンブランの作家シリーズのペンを手に取ってみてはいかがでしょうか。

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