ルーペで覗くペンポイントの世界。
今回はキャップレスのペンポイントをご覧いただきます。
日本を代表する万年筆メーカーといえば、
その筆頭に挙げられるのは
「パイロットコーポレーション(以下、パイロット)」
ではないでしょうか。
▪パイロット キャップレス
並木良輔氏が1914年(大正3年)に、北海道の天然イリドスミン鉱石からペンポイントの加工に成功し、その後、1916年(大正5年)に初の純国産14金ペンを完成させたことに端に発して、1918年(大正7年)に東京日本橋で和田正雄氏とともに「並木製作所」として創業しました。
その後、ブランド名でもあった「パイロット」(水先案内人の意)へと社名変更をし、創業以来、独創的なアイデアと高い技術で業界を牽引し続け、10億本以上を販売した「フリクションシリーズ」は余りにも有名です。
パイロットは今現在も、数多くの万年筆を販売しており、「カスタム」をはじめ、「ラッカナイト軸」以来の漆塗りなど多様なラインナップがあります。
それぞれに多くの魅力があり、その質実剛健な製品づくりは多くの方の定評のあるところです。
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今回はあえて細部に注目をし「ペンポイントの世界」と題して、普段お使いの時にはまず見られないであろう、小さなペン先の先端の世界、ペンポイントの世界について、ご覧いただきたく思います。
今回取り上げるのは、1963年(昭和38年)に初代モデルが発売された「キャップレス」です。
世界で初めてキャップのない万年筆として誕生したキャップレスは、改良を繰り返しながら、今年60周年を迎えるパイロットを代表するモデル。
その独創的なアイデアを実現するためのヘッド部のシャッターと、その小さな開口部を通り抜けるキャップレス専用のペン先ユニットが特徴的です。
※構造の詳細は下記公式サイトもご参考に
https://www.pilot-capless.jp/
キャップレスのペン先ユニットは、その構造故に、一般的な万年筆に比較してかなり細身に作られていることは、多くの方がご存知かもしれませんが、そんなキャップレスの「ペンポイント」、ご覧ください。
(ペンポイントの拡大画像はデジタルズーム換算で約40倍です。)
▪極細字(EF)
▪細字(F)
▪中字(M)
▪太字(B)
※太字だけゴールドトリムです。
画像でご覧いただくと何となくお分かりかもしれません。
パイロットの他のペン先と比較すると、特に太字が顕著ですが、ペンポイント下部のいわゆる「腹」の部分がどの字幅でもあまりせり出していません。
下の画像は、比較用のカスタム743の太字(B)のペンポイントです。
▪743 太字(B)
比較すると、違いがよく見えてきます。
キャップレスはその構造上シャッターの開閉のたびに、ペンポイントの腹部分とペン芯先端が接触します。
(使用されているキャップレスを見ると、上記の箇所が少し擦れています。)
またペン先自体が開口部に向けて、前傾しています。
▪キャップレスペン先
これは想像となりますが、その干渉をなるべく抑えるために、ペンポイントの溶接位置を意図的に変えているのではないかと考えられます。
これにより、ペン芯先端部とペンポイント部分の高さの差が生まれて、シャッターと干渉しづらいように見えます。
世界中で多くの種類のペン先がある万年筆ですが、このようにペンポイントの溶接位置を変化させているのは、寡聞にして存じ上げません。
いずれにせよ正確な理由はわかりませんが、小さなペンポイントを眺めて想像するだけで、なんだかワクワクするような気がします。
ペンポイントの世界を少しでもお楽しみいただけたなら幸いです。
もしルーペをお持ちでしたら、お手元のペンをのぞいてみると意外な発見があるかもしれません。
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【参考サイト】
パイロットコーポレーション,”パイロット100周年記念サイト”,パイロットコーポレーション
https://www.pilot.co.jp/100th/
パイロットコーポレーション,”キャップレス キャップのないノック式万年筆”,パイロットコーポレーション
https://www.pilot-capless.jp/,2023年7月28日閲覧