日本人でよかった。ウルシのこと。

2016年09月14日

最近、2020年の東京オリンピックの影響もあってか
「日本らしさ」
日本の伝統文化や、工芸などへの注目がますます高まっているなあと思います。

ガラス工芸や染め物、
無形文化遺産に登録されたのが記憶に新しい、手漉(てすき)和紙など。

わたしは個人的に興味があり
以前、「漆」について学ぶイベントに参加したことがあります。

気づけばもう昨年になりますが。

都内の教室で開催されたそのイベントは、
クラフト体験のようなもので、
専門的な勉強とはいえませんが、とても新鮮な体験ができました。

◆漆の美しさにはわけがありました

イベントで話を聞いて感じたのは、
漆の素材がいかに貴重で、またいかに手間のかかる繊細なものなのか、ということ。

イベントの趣旨としては、
「漆かき職人」の方のお話を聞きながら、
実際に漆を採取してみようというテーマのもの。

※職人さんの世界では、漆の木を削って、
漆を採取することを、「漆をかく」という言い方をするそうです。

実際に、漆をかいてみると、まーこれが結構大変。

木をひっかき、樹液が出るのを待ちます

木の表面をひっかいてキズをつけていくのですが、
生きている木は水分があって、固い!

漆はかいた瞬間からドバドバ出てくるものではありません。
少しずつ、じわりじわりと出てきます。
一気にたくさん傷をつけると木が弱ってしまうので、
時間と箇所をずらして徐々に慣らしていくのだそうです。

漆かき職人の方は、おもに夏の間中
毎日森を歩き回って、年間に約数百本の木から漆をとっているのだそうです。

年季の入った職人道具を見せて頂いたり
(漆独特の香りが染みついておりました。)
お話を伺ったりしながら、漆の奥深さにちょっぴり触れることができました。

漆ぬりの体験もほんのちょっぴりさせて頂きました

現在、昔ながらの方法で漆をとる職人さんは、
日本に約20人ほどしかいないのだそうです。

また、漆の木が漆をとれるまでに
成長するには少なくとも10年はかかり、
普通、漆液は1本の木から牛乳ビン1本分程度しか取れないのだそう。

森中を歩き、漆をかき、少しずつ出てくる漆を集めて
さらにそれを精製して
工芸作家さんの手に渡って、何十にも塗り重ねて、仕上げていく。

漆がいかに貴重で、手間がかかっているのか・・・。
想像しただけで、気が遠くなりそう・・・。

◆日本の伝統の重みを感じる

今までは、ウルシのペンやウルシのうつわを見ても、
「ウルシは高級素材」
「ウルシの光沢って、つやつやしててきれいだなあ」
と、漠然とした感覚でとらえていたことに気づきました。

沢山の人の手から手へと伝わり、
やっと今もこうして「漆の技術」が受け継がれていること。
当たり前のことですが、これってやっぱりすごいことだなあ、と。

今、日本でも取り扱われている漆の多くは、中国産のものも多いので、
実際手にした品物が、純国産のであるとは限らないのかもしれません。

けれど、
手にしたときに私たちの心がシャンとするのは、

多くの先人たちが大切にしてきたもの、
作り上げてきたものの重みを感じるからかもしれません。

当店自慢の、「漆」万年筆


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1本1本、漆を施しているボディは、
手に取るたび
そのしっとりとした艶と、なめらかな質感に魅了される逸品です。
塗り重ねられた漆の色合いが、なんとも絶妙。

ぜひ手にして頂きたい万年筆です。

万年筆は、
もともとは日本生まれのものではありません。

けれど、それに日本の伝統が融合することで、
海外では真似の出来ない、日本ならではの美しさや個性を出すことができるんですね。

世界に誇れる、すばらしい技術だと思います。

素材ならではの美しさ、質感を堪能するときに
ほんの少し、
この記事のことを思い出して
そのモノの良さについて、思いを馳せるきっかけになればうれしいです。

みなさまに、
素敵なペンとの出会いがありますように。

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