(10月某日、東京)
万願寺とうがらし(以下:万) 「いよいよ秋野菜、デビューか。」
鹿ケ谷かぼちゃ(以下:鹿) 「仲間が増えましたねー!」
万 「皆、気に入ってもらえるといいな。」
鹿 「きっと大丈夫ですよ。京都にも祈願に行きましたもんね!」
万 「あれは・・・光栄だがしんどかった・・・」
(8月某日、京都)
万 「暑い。暑いよ・・・」
鹿 「38℃だそうですね・・・」
万 「だいたいな、なんでこんな暑い時期をわざわざ選んで京都に」
鹿 「なんでも帰省という設定で――まぁ、後輩の秋野菜達もデビューな訳ですし、ご挨拶がてら。」
万 「こうも暑いとインクが蒸発しちまうぜ。あー我ら万年筆の敵、高温多湿っ!」
鹿 「大丈夫ですよ、ボクらサンプルですし。」
万 「真面目か。頭が堅い!」
鹿 「かぼちゃですからね。」
万 「・・・。
でもいいよなお前は『希少価値の高い、縁起の良い、高価!』枕詞が沢山あってよぉ」
鹿 「先輩だって知名度高いじゃないですか。知らない人いませんよ万願寺先輩のこと。
とうがらしの王様、ですよ?」
万 「まぁな。どうせなら野菜の王様がいいけどな。
さて、京都巡りすっか!」
鹿 「先輩、京都お詳しいんですか?」
万 「ばか!俺らは京野菜だぞ。京都を知らなくてどうする!京都生まれ京都育ちだろうが!」
鹿 「あ、いや僕ら東京生まれ東きょ・!ふがッ・・・・」
万 「まぁ、新宿のショーケースは涼しいし注目浴びるから居心地いいけどよ、
京野菜謳うからにゃきちんとご挨拶はしねーとな。人間だろうが野菜だろうが万年筆だろうが、
感謝と挨拶は大事だぞ。あとリスペクトな。特に京都はそういった事をきちんと大事にする場所なんだ」
鹿 「はい!
・・・でも先輩、京都では礼儀や作法が特に尊ばれてますから、その言葉遣い気をつけてくださいよ。
イヤですよボクせっかく京都来たのに嫌われるの」
万 「郷に入っては郷にほにゃららってあるやろ?尊敬の念があればほらもう言葉も綺麗でどすやはん」
鹿 「いや方言おかしいっすよ・・・」
万 「よーし、ちゃんと京都来ましたよって証に、いま流行りのセロリ―しとくかセロリ―!」
鹿 「セルフィーですね!いいですね!」
(10月某日、東京)
鹿 「京都は様々な伝統、特徴的な文化が魅力ですからね。」
万 「俺らの仲間に丸っこいのが多いのはどこで切ってもカドが立たぬように、なんだろ?」
鹿 「そういう説もあるらしいですね。
食材や調理法も、それありきでは無く食す方々の職業や空間に合わせたものもあるとか
例えば天ぷらは、香り高いごま油を使用するお店の多い東京に比べ、
芸妓さんはじめお着物や持ち物に匂いがつかぬように、という理由で
サラッとした匂いのきつくない油を選ぶようになった、だとか
おかわりをするときは茶碗に少し残した状態で、とか
待ち合わせには少し遅れていくのが思いやり、だとか
東京の帝国ホテルのように、
京都発信で全国的なマナーや振る舞いになったものも少なくないそうですよ。」
万 「ふーん。面白いな。
よく喋るな。」
鹿 「もちろん諸説ありますし、京都で生まれ京都で育った方にしかわからない事も沢山あるとは思いますが
これだけ日本中で、そして世界で愛される都市はなかなか無いですよねぇ。」
万 「日本の誇り、だな。」
鹿 「秋野菜も無事お客様の元で輝いてくれますように!」
万 「そうだな、良い持ち主に出逢えるといいな。」
鹿 「キングダムノートご利用の方は万年筆好きのコアな方が沢山いらっしゃいますからね。恵まれてます。」
万 「これは食べ物ではありません、とか書かなくていーのかな」
鹿 「要らないと思いますが。」
万 「東京から京都モチーフの万年筆を出しているが、
筆記具ファン達に色んな楽しみ方が広がるといいなぁ。
軸の色で遊んでみたり、中のインクを吟味したり。」
鹿 「そうですねぇ!」
万 「万年筆の、そして筆記具の愉しみ方。
果ては京都、京都の伝統、魅力が伝わるといいなぁ。」
鹿 「ええ。」
万 「安くて良い筆記具が日本には沢山あるけれど、
少し値の張る万年筆もまた、
京都のように伝統や歴史の詰まったもの。
日本で日本なりに発展を遂げ、多くの夢が詰まったもの。」
鹿 「・・・ええ。」
万 「文字を書く、という行為自体が身近では無くなった方が多い現状、
だからこそ愉しみ方をそれぞれで見つけて有意義な時間を過ごして欲しいな。
性格、個性、確実に想いの伝わる行為だから。」
鹿 「・・・。」
万 「『人間味のある』っていい言葉だよな。
技術の発達もすごいことだし必要なことだけど、
失ってはいけない何かもあると思わないか?
人だからこそ、『心』、その大事さを
筆記具を通してくすぐることが出来たら、俺らは心底・・ペン底?幸せだなぁ。
いいなぁ人間って。」
鹿 「・・」
万 「ま、一見ポップで遊び心のあるオリジナル万年筆!で終わりだが、
その背景の思い入れや筆記具に対しての想い、願い。
お客様発信でもどんどん広がっていくと嬉しいな。
今後ともキングダムノートをご愛顧のほど、宜しくお願い致します。」
鹿 「・・・先輩・・・」
万 「ん?」
鹿 「・・・・・」
万 「なんだ?」
鹿 「・・・・・・・・・真面目かっ!!」
万 「(怒)・・・!?このやろ(バコッ!)」
鹿 ペチッ(割と堅め)
万 「痛ぁっっっ!!」
鹿 「最後までお付き合い頂き有難う御座いました。
まずは第二弾まで。そして今後の冬野菜もお楽しみに。
秋野菜を是非ご覧ください、宜しくお願い致します!」
万 「(痛ぃ・・・泣)」
《Fin.》
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