価値あるものを求めて~エボナイト素材~

2010年01月23日

現代では「希少」と言われるほどにまでなったエボナイト。
当店でもよくご紹介をさせていただいている素材ですが、

「なにがどう希少なの?」

というように思われる方もいらっしゃると思います。
今回はエボナイト樹脂について、ご説明させていただきます。
まずエボナイトとは、天然ゴムに30%以上の硫黄を加えて、
加熱して生成される化合物です。

ゴムと比べると硬いですが、プラスティック系の樹脂よりも軟らかいのが特徴です。
「エボナイト」と言う名称は、外観がコクタン(Ebony)に似ていることから、
名づけられました。

筆記具のほかに、サックスやクラリネットなど吹奏楽器のマウスピースや、喫煙用の
パイプのマウスピースに用いられることがあります。
また絶縁性が極めて高く、かつては工業製品や電材の絶縁部分に使用していたほど、
「希少」と言う言葉には似合わないほど、ありふれた素材でした。

筆記具としては昭和初期から中頃まで、エボナイト製の万年筆が多く存在していました。
しかし加工技術の難しさや長期間、光があたるところに置いてしまうと変色してしまうというデリケートな特徴がありました。

そのような理由からより安価で性能の良いエボナイトに代わる製品が誕生するにつれて、
エボナイトの存在は薄れてしましました。

現在では一般に手にする機会はほとんど無くなってしまっています。
また、エボナイト加工が出来る職人も日本には数えるほどしかいない為、
今では希少となってしまったのです。

オノト 1920年代 エボナイト製万年筆

しかし、樹脂素材ではまず味わうことが出来ないエボナイト特有の
軟らかい持ちごたえを堪能したいという方や、エボナイト製筆記具の
デリケートな扱いをむしろ楽しみたいという方も多くいらっしゃいます。

使えば使うほどに手に馴染み、味わいのある淡い光沢が出てまいります。
あなたもエボナイトならではの楽しみや味わいを堪能してみてはいかがでしょうか?

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