筆記具メーカーが毎年発表する数多くの新作。
限定品の中には、過去のアート作品やアーティスト本人、またはアートにまつわる出来事を取り上げたモデルが数多く存在しています。
その中から私が特に惹かれたアイテムをご紹介したいと思います。
▪カランダッシュ&ラリックリミテッドエディション ラリック クリスタル ブラック
カランダッシュの本社があるスイスのジュネーブは、フランスとの国境近くに位置しています。
そのため、文化的にもフランスの影響を色濃く受けています。
そんなカランダッシュが2014年にコラボレーションしたブランドは、香水瓶をはじめ、食器や照明、アクセサリーまでエレガントなデザインの製品を数多く手掛ける、フランスを代表するクリスタルガラスのメーカー「ラリック」でした。
ラリックの創業者であるルネ・ラリックは、はじめ金細工や宝飾デザイナーとしてキャリアを築いた後、カルティエやブシュロン等のジュエラーに作品を提供するに至り、著名人を含む多くの顧客を獲得しました。
その後、流行の変化に伴い方針の転換を迫られる中たどり着いたのがガラス工芸でした。
試行錯誤の末、宝飾品にとどまらず花瓶やテーブルウェア、香水瓶等、今でもラリックのアイテムの中心となる製品群を発表していきました。
幅広いデザイン活動は再びルネ・ラリックの人気を押し上げ、19世紀末~20世紀前半にかけてフランスでおこった芸術運動「アール・ヌーヴォー」から、その後に起こる「アール・デコ」への変革する時代の旗手として活躍しました。
現在のラリック製品も、そうした時代のデザインを色濃く反映し、コレクションによって、植物や動物をモチーフとした有機的な柔らかい線が特徴の「アール・ヌーヴォー」、そして対照的にしっかりとした輪郭を持ち、幾何学的、直線的なデザインが特徴の「アール・デコ」、それぞれの特徴を感じられるラインナップが展開されています。
そして今回ご紹介する「リミテッドエディション クリスタル ブラック」はラリックの特徴が、ベースとなるカランダッシュのモデル「レマン」に美しく調和しています。
「レマン」コレクションの持つ、キャップチューブから胴軸へと繋がるゆったりとした曲線デザインは、当時カランダッシュの「バリアスコレクション」でも使用された、セラミックを用いて形造られています。
硬質で艶のあるダークトーンのセラミックは、万年筆の軸素材としては不安のあるガラスの強度の問題を補いつつ、ラリックの与えたデザインを表現する素材として最適だったのではないでしょうか。
そして、軸の表面には1935年にルネ・ラリックによるデザインで製作された、噴水に施された「クタールモチーフ」があしらわれています。
水滴の広がりを感じさせるドット状の凸柄が軸全体に配され、単色ながらもリズムのある軸デザインとなっています。
天冠と尻軸にはラリックを象徴する、カボションカットされたサテン仕上げのクリスタルガラスセットされています。
総重量84gとかなり重めの軸ですが、「クタールモチーフ」のデザインが滑り止めの役割を果たすと同時に、「レマン」コレクションならではの握りやすい形状です。
そして万年筆は適度なしなりを持つ固めのペン先が…
ローラーボールは緩やかなカーブのグリップと滑らかなリフィルのおかげで非常に安定感のある書き心地をお楽しみいただけます。
胴軸リングには機械彫りによる立体感ある「LALIQUE」と、
「CARAN d’ACHE」の文字が彫刻されています。
万年筆とローラーボール、それぞれ999本ずつの限定生産となっており、キングダムノートへの入荷も数える程度です。
また、本作は「クリスタル ブラック」の他に、同じく999本限定の「クリスタル ホワイト」
さらに、僅か18本限定で製作された「クリスタル&ダイアモンド」が存在しています。
ラリックの美しいデザインとカランダッシュのもつ高級筆記具の製造技術が高い次元で融合した非常にバランスの取れた名作です。
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