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ある万年筆の独白(モンブラン♯149中白)

私が生まれたのは新宿に巨大なビルが立ち始めた頃。

ある文具店の店頭に飾られていた私は
「相棒」の目に留まり、その手に収まることになった。



相棒はいつも陽気で良く喋る男だった。
ただ、本当に伝えたいことがあるときは、
私を手にして短い手紙を書いた。

外国で暮らす旧友へ「また、一杯やろう。」

喧嘩した奥さんへ「俺が悪かった。すまん。」

故郷を離れて暮らす娘へ「いつでも帰って来い。」

定年を迎えた会社で部下へ「お前なら、やれる。」

そして、病院のベッドで家族へ遺した「ありがとう。」

相棒の早すぎる旅立ち。これでもう引退だと思っていた。
だが、相棒の娘が物好きにも私を引き取ることを希望して、
その手に収まることになった。

私を握る新たな相棒の手はまだ覚束ない。
きっと言葉を綴るうちに慣れてくるだろう。
再スタートする人生で、どんな言葉、想いに触れられるのか、楽しみで仕方がない。

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2009年11月24日|written by スタッフ
この記事カテゴリーは『万年筆』です。

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